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設計事務所,ハウスメーカー,工務店の違いとメリット&デメリット比較
2020.09.28

このページをご覧になろうとしているあなたは、もしかして次のような課題や疑問を持っているのではないでしょうか?

・一戸建て住宅を設計事務所とハウスメーカーどちらにするか決めかねている
・設計事務所とハウスメーカーではどのような違いが生じるのかを知りたい

そんなあなたのために、このページでは次のような情報を用意しました。

・ハウスメーカー、工務店、設計事務所の役割の違い
・ハウスメーカー、工務店、設計事務所のメリットとデメリット

この記事を読むことで、設計事務所・ハウスメーカー・工務店の違いを理解し、あなたにとって、最適な戸建て住宅の選択ができるようになりますよ。

ハウスメーカー、工務店、設計事務所の役割の違い

ハウスメーカー・工務店・設計事務所の役割にはどのような違いがあるのか、わかりにくいですよね。しかし、そこには大きな大きな違いがあるのです。

この3者の役割の違いを、あなたが風邪を引いたときに「薬を手に入れる方法」を喩えに表現すると、以下のとおりです。

 

ハウスメーカー ドラックストア
工務店 地元の薬局
設計事務所 患者を問診をし、処方箋を出してくれる医師

ハウスメーカー

風邪を引いたあなたが、ドラッグストアで薬を手に入れることは、ハウスメーカーで家を手に入れることと似ています。

ドラッグストアに行くと、たくさんの風邪薬が並んでいます。どの風邪薬が自分の風邪の症状にぴったり合うのか判断することは難しく、なんとなく無難な風邪薬を選びがちです。これは、住宅展示場に足を運び、様々なハウスメーカーの住宅を見て回る様子と近いです。

ハウスメーカーでの家づくりは、ドラッグストアで薬を選ぶように、商品として販売されている住宅を購入することと似ています。ハウスメーカーは、商品化した住宅を売る専門家なのです。

「ハウスメーカーは家をつくらないの?」と疑問に思う方がいらっしゃるかもしれませんね。つくらないんですよ!ハウスメーカーの住宅をつくるのは、工務店です。

ハウスメーカーは、規格化した住宅を『商品』として販売しています。もちろん、カスタマイズ可能な部分はありますが、それも販売されている商品内で「選ぶ」のであって、一からあなた仕様に設計することとは違うのです。

工務店

工務店を喩えるならば、『地元の薬局』です。

風邪を引いたときに、地元の薬局に行くと、「いつもの錠剤と、このドリンクの組み合わせは効くよ!」といったように、独自の知識と経験で薬を提案してくれます。そんな地元に密着したイメージは、工務店と似ています。

工務店は「家を建てる」専門家です。しかし、工務店の種類はさまざまで、先のようなハウスメーカーの住宅を建てる工務店、建売住宅ばかりを建てる工務店もあります。

工務店に家づくりを依頼するのであれば、上記のようなハウスメーカー住宅や建売住宅など、下請け仕事が中心の工務店は避けましょう。設計から家が完成するまで、家づくりをトータルに考え、作り上げてくれる工務店が望ましいです。

ただ、一般的には、工務店は「家を建てる専門家」であって、「家づくりを依頼する人の立場」に完全に寄り添って家を考える専門家ではありません。

設計事務所

設計事務所を喩えるなら、『患者を問診し、最適な薬の処方箋を書いてくれる医師』です。

「風邪をひいたかな?」と思い、医師に診てもらったら「これは風邪ではなく、腸に入ったウィルスからきていますよ」というように、診断から最適な薬の処方箋を作成してくれる医師のような存在が、設計事務所です。

設計事務所は、あなたの理想の住まいづくりに寄り添い、家族が本当に望んでいるものは何かを見出し、形にすることが得意です。設計事務所は、「家を考える専門家」なのです。

設計事務所を選んで家を建てるということは、「家を考える専門家」があなたの住まいを考え、「家を建てる専門家」である工務店が、あなたの家をつくることになります。

あなたが理想とする暮らしを手に入れたいと願うのであれば、ぜひ「家を考える専門家」である設計事務所を選択していただきたいと思います。

ハウスメーカー、工務店、設計事務所のメリットとデメリット

ハウスメーカー・工務店・設計事務所には、それぞれメリット・デメリットの両面があります。一戸建て住宅の依頼時に、押さえておきたいポイントも含めて、一つひとつ詳しく解説していきますね。

ハウスメーカーのメリット

ハウスメーカーのメリットは、以下のとおりです。
・家が完成するまでの期間が短い
・窓口の一本化(営業マンが最初から最後まで担当についてくれる)
・住宅ローンのサポートをしてくれる
・住宅の長期保証制度や設備のメンテナンス制度が整っている

ハウスメーカーでは、主に「自由設計型」と「規格型」と呼ばれる注文住宅が展開されています。「自由設計型」は、パターンの中から間取り・内外装の材質・設備を選ぶことができます。一方、「規格型」は、間取り・内外装の材質・設備がすでに決められているため、選択の自由度は低くなります。

上記のように、ハウスメーカーの家は、ほぼパッケージデザイン化された中から商品を選定し、家が完成するので、家づくりに強いこだわりがない場合は、簡単に家を建てることができます。また、家が規格化されているので、設計・工事期間は短く、設計事務所の家づくりに比べると、短期間で家を完成させることができます。

ハウスメーカーでは、営業マンが専属で担当につくので、連絡窓口が一つなこともメリットです。また、住宅ローンのサポートや、10年間の加入義務の瑕疵保険以外にも、大手ならではの長期保証制度・設備メンテナンス制度も比較的整っているようです。

設計から工事、住宅ローンのサポートや、完成後のメンテナンス制度など、フルでサポートしてもらえる点が、ハウスメーカーの大きなメリットです。忙しく、家づくりのために時間を裂けない方には、向いているかもしれません。

ハウスメーカーのデメリット

ハウスメーカー のデメリットには、主に以下のような点があります。
・設計の自由度が低い
・営業マンの人事異動がある

ハウスメーカー の住宅は、家のパッケージ デザインが概ね決まっているため、設計の自由度が低くなります。間取りの自由度が低いだけでなく、デザインや材料に関しても妥協しなければならない場合もあります。特に狭小敷地では、設計の柔軟性を欠く場合があり、自由度は更に低くなります。

多くのハウスメーカーは、経年変化のある天然・自然素材を極力を使わず、安定した品質の材料を使用します。これは、クレームを最小限にすることができるので、ハウスメーカーにとってはとても重要な点になります。

自然素材に対応しているメーカーもありますが、圧倒的に少ないので、自然素材を希望される方は、ハウスメーカー以外の、設計事務所や工務店での家づくりも視野に入れておきましょう。

担当営業マンについてですが、最初から家が完成するまで専属でついていてくれますが、数年後、人事異動で担当から外れている場合があります。家のメンテナンスでのお付き合いは長いです。何か対応してほしいとき、当時の担当営業マンが代わっている場合もあるのでご注意ください。

<コラム>
大手ハウスメーカーの営業マンの転勤ペースは、約3年に1回です。何かあったときに、すぐに対応してもらえるよう、転勤の際には、前任者と新任者できちんと引き継ぎをしてもらうことが大切です。新任営業マンに代わった場合、一度挨拶に来てもらうなど、リスクマネジメントしておくといいですね。

工務店のメリット

工務店には、以下のような、メリットがあります。
・コストを抑えることができる
・地域密着型の住宅建設会社の場合が多い
・ハウスメーカーと比べて、設計自由度がある

工務店は、ハウスメーカー と比べると、希望に応じた設計をしてくれます。自然素材に対応してくれる工務店も多いです。シックハウス症候群や化学物質過敏症、新建材から発生する化学的な匂い、子供に本物の木を触れさせたいなどの希望がある場合は、対応してもらえるのか、事前に確認するといいですね。これに加えて、好みのデザインの住宅をつくっているのであれば、選択肢の一つだと言えます。

工務店での家づくりの場合、設計から施工まで工務店が行うことになるので、コストを抑えられることが大きなメリットとなります。

工務店のデメリット

工務店のデメリットには、以下のような点があります。
・設計事務所に比べると、設計自由度が低い
・柱の少ない大空間をつくるなど、特殊な注文を嫌う傾向がある
・設計事務所に比べて、工事の監理が甘くなる場合がある

工務店は、ハウスメーカー と比べて設計の自由度が高いものの、設計事務所と比べると、その差は歴然です。また、大空間や特殊な設計を嫌う傾向もあるため、オーソドックスなプラントとなりがちです。

工務店で家をつくる場合、工務店の設計者が図面を作成し、家を建てることになります。そのため、手抜きはないか、図面通りにつくられているかなどの工事の監理が甘くなってしまう場合もあります。

建主の立場で家づくりを進めていたはずが、工務店本位の「つくりやすい家」となってしまうケースもあるので、本当に信頼できる工務店であることがポイントとなります。欠陥住宅とならないために、厳しい目をもった工務店との家づくりは必須です。

設計事務所のメリット

設計事務所での家づくりには、以下のようなメリットがあります。
・ゼロから設計するので自分だけのフルオーダーの住宅が可能
・土地の条件を引き出す家づくりができる
・欠陥住宅になりにくい

ハウスメーカーや工務店での家づくりの場合、間取りや工法など、予め決まった範囲内での選択となります。そのため、100%希望にかなう家を実現することは難しくなります。

その点、設計事務所での家づくりは、その家族のためだけのフルオーダーの住まいを考えるため、自分の理想が伝えられ、自分だけの設計をしてもらえる大きなメリットがあります。

また、土地の持ち味や条件を引き出して設計するため、建築制限がかかっている場合や、狭小地・変形地など、特殊な敷地の場合は、設計事務所に依頼するメリットは大きくなります。

設計事務所は、手抜き工事はないか、設計事務所で作成した図面通りにつくられているかを監理する立場にあります。そのため、ハウスメーカーや工務店より厳しい目でチェックすることになり、欠陥住宅を防ぐことができます。

設計事務所には、ハウスメーカー や工務店とは大きく異なる点がありますが、これは設計事務所が、あくまでも、依頼するあなたの家づくりを考える立場にあるからこその大きなメリットです。特に、家づくりを中心に活動している設計事務所に依頼すると、理想の住まいの空間づくりの実現に、親身になって対応してもらえますよ。

<コラム>
設計事務所では構造解析により、安全性を保ちながら柱と柱の間隔を5.4mくらいまで開けてデザインすることが可能です。当事務所では、木造の幼稚園・保育園で8、9mの柱間隔の大空間の設計デザインも手掛けました。

設計事務所のデメリット

設計事務所には、以下のようなデメリットがあげられます。
・家が完成するまでの期間が長い
・こだわりを強めるほどコストがかかる
・打合せに時間がとられがち
・住宅ローンの借り入れなどは、自分で行わなければならない

設計事務所に家づくりを依頼した場合、ゼロからフルオーダーで設計するため、ハウスメーカーと比べて、設計期間・工事期間が長くなります。また、こだわりを強めるほど、工期が長くなる傾向にあります。

ハウスメーカーの住宅は規格化されているので、40坪ぐらいの住宅で、4ヶ月程の工期で完成させることもあります。これに対して設計事務所での家づくりは、一般的に、40坪くらいの住宅で設計期間に3、4ヶ月くらい、工事期間は5ヶ月から7ヶ月かかります。造り付けの家具をつくったり、壁の仕上げを漆喰や珪藻土などの左官工事とした場合、さらに期間が長くなります。

工事の手間が多くなり、工事期間が長くなればなるほどコストがかかる傾向にあるので、設計事務所に依頼する場合は、「こだわり」と「コスト」のバランスは大切です。この点は、設計の前段階から設計事務所に相談するといいですね。

理想の住宅をつくるために、設計事務所との打合せの時間はとても大切です。そして完全自由設計のため、設計時から施工時まで通して打合せの時間は多くなります。忙しいご家族の場合、この点は周知しておいた方がいいですね。

設計事務所は「家を設計する専門家」です。そのため住宅ローンなどの資金の借り入れ段取りは、ご自身で行う必要があります。家づくり以外の部分で、ご自身でやらなくてはならない部分が多い点は、設計事務所のデメリットです。

しかし、あなたの理想の暮らしを実現できる設計事務所での家づくりは、これらのデメリット以上の大きなメリットがあると確信しています。

設計事務所,ハウスメーカー,工務店の違いとメリット&デメリットまとめ

ハウスメーカー

【役割の違い】
商品化された住宅を販売する専門家
喩えるなら「ドラッグストア」

【メリット】
短期間で家が完成
窓口の一本化(営業マンが最初から最後まで担当につく)
住宅ローンのサポート
長期保証制度や設備メンテナンス制度が整っている

【デメリット】
設計自由度が低い
営業マンの人事異動

工務店

【役割の違い】
家を建てる専門家
喩えるなら「地元の薬局」

【メリット】
コストを抑えることができる
地域密着型の住宅建設会社が多い
ハウスメーカーより設計自由度あり

【デメリット】
設計事務所より設計自由度が低い
大空間、特殊な注文を嫌う傾向にある
設計事務所に比べて工事監理が甘い場合がある

ハウスメーカー

【役割の違い】
家を考える専門家
喩えるなら「患者を問診し最適な薬の処方を書いてくれる医師」

【メリット】
ゼロから設計の自分だけのフルオーダー住宅
土地の条件を引き出す家づくり
欠陥住宅になりにくい

【デメリット】
家が完成するまでの期間が長い
こだわりを強めるほどコストがかかる傾向
打ち合わせ時間が長く回数も多め
住宅ローンの借り入れなどは自分で進める必要あり