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エコハウスを建てる前に知っておきたい間取り、断熱材、坪単価
2022.07.22 高級住宅

環境に負担をかけることなく、住まいに必要なエネルギーを最小限に抑える快適な住宅、それがエコハウスです。

せっかく家を建てるなら、地球環境に優しく、光熱費を抑えることができるエコハウスにしたいと考える方が増えています。

この記事では、理想とするエコハウスを建てる前に、間取りや断熱材、坪単価について知っておくべきことを紹介しています。

 

環境にやさしいエコハウスの間取り

環境にやさしいエコハウスを建てるためには、風や太陽熱、太陽光などの自然の力を利用した「パッシブデザイン」という設計技術への理解を深めておくと良いでしょう。

パッシブデザインの「パッシブ(passive)」とは、直訳すると「受け身」という意味の形容詞です。

パッシブデザインとは、自然の力を受動的に取り入れることにより室内環境を快適に保つことができる設計デザインなのですね。

それでは、パッシブデザインを生かしつつ環境にやさしいエコハウスを実現するための具体的な間取りについて3つ紹介します。

 ・南に面した部屋を作る

 ・東と西に大開口の窓を設けないレイアウトにする

 ・一定の断熱水準以下では吹き抜け空間はつくらない

 

南に面した部屋を作る

南に面した部屋を作り、そこに大開口の窓と夏の日差しを遮るだけの庇(ひさし)を作ることが、環境に優しいエコハウスにつながります。

冬は日差しを部屋に取り入れ、夏は日差しを遮ること。

それは、太陽熱を有効活用し、冬の暖房付加と夏の冷房付加を下げるというパッシブデザインの考え方に基づいた建築技術です。

省エネルギーで冬は暖かく、夏は涼しい快適な家を実現できるというわけです。【冬の日射取得、夏の日射遮蔽のために南面の窓に庇代わりの屋根やバルコニーを計画した例】

東と西に大開口の窓を設けないレイアウトにする

エコハウスを作るには、東と西に大開口の窓を設けないレイアウトにすることが大事です。

東と西に大開口の窓を設けてしまうと、朝日と夕日の熱を真横から直に受けてしまい家の中がオーバーヒートして温室のようになってしまいます。

特にエコハウスにするため高気密高断熱化を図った家は、一度朝日や夕日で室温が上がりすぎてしまうと熱がなかなか抜けなくて快適に暮らせないというケースが後を絶たないのです。

パッシブデザインの知識は、まだ住宅業界の中であまり浸透していないこともありますので、高気密高断熱化と大開口の窓のレイアウトには注意が必要です。

一定の断熱水準以下では吹き抜け空間はつくらない

見た目も美しく開放的な吹き抜けですが、安易に吹き抜け空間を作ると冷暖房が全く効かない空間になってしまうことがあります。

実は、日本の推奨している住宅の省エネレベルは他の先進国に比べて基準が低いのです。

もし吹き抜け空間を作るのであれば、家の断熱レベルをHEAT20のG2グレード程度で施工しなければ、光熱費ばかりかかる快適ではない家になってしまいますので注意が必要です。

ちなみに、「HEAT20」とは国が定める基準よりも厳しい断熱の基準であり、「G2グレード」とは真冬の室温が13度を下回らない断熱性能を意味します。

現在の日本の住宅の断熱基準はHEAT20のG1グレードにも満たないというのが実情です。

セカンドハウスと別荘の違いを利用目的と仕様の2点から解説

こちらの記事では住宅の断熱性における「HEAT20」やグレードの基準について、詳しく紹介しています。

【高断熱住宅とし吹き抜けを計画した例】

 

エコハウスに最適な断熱材

住まいに必要なエネルギーを最小限に抑え快適なエコハウスを作るために、家の断熱性能は欠かせません。

高い断熱性を生み出すために重要なものが「断熱材」です。

木造住宅を作る際に、推奨する断熱材を4つ紹介します。

 ・高性能グラスウール

 ・セルロースファイバー

 ・発泡ウレタン

 ・フェノールフォーム保温板

1.高性能グラスウール

一般的に普及している高性能グラスウールは、一番安価で断熱性能が確保しやすい材料です。

高性能グラスウールは袋に入ったタイプと、袋に入っていない状態の2タイプあります。

袋に入ったタイプは、壁面の断熱材の場合薄く、105mmの厚みの製品しかないため断熱性能は高くありません。

壁に105mm以上の断熱材を入れる場合は、袋に入っていない状態の高性能グラスウールを使用します。

袋に入っていない状態の高性能グラスウールを使用する際は、室内側には防露(ぼうろ)シート、屋外側には透湿防水シートの施工が必須になりますが、断熱性能は高くなります。

高性能グラスウールは新建材の一種と思われている方が多いですが、85%が資源ごみのリサイクルガラスを再生したガラス繊維を用いているため、環境にも優しい素材です。

費用相場は30坪程度の家で60万円くらいが目安です。

2.セルロースファイバー

セルロースファイバーとは、新聞などの古紙(原材料の80%が古新聞)を繊維状まで粉砕した、断熱性能の高い材料です。

また、グラスウールとは違い吹き込み施工を行うため、複雑な形状の屋根でも容易に偏りなく充填する事が可能です。

セルロースファイバーの施工は誰でもできるものではなく、各地域にセルロースファイバー専門の業者が多数存在しています。

専門の業者に施工してもらうことで、施工性能を十分に確保する事ができます。

費用相場は30坪程度の家で100万円くらいが目安です。

3.発泡ウレタン(硬質50倍発泡)

発泡ウレタンは、ウレタン樹脂に発泡剤を混ぜたもので、スプレーガンで吹くと泡状に膨らみながら断熱材になります。

住宅に使用するのは50倍に膨れ上がる発泡タイプのものです。

高性能グラスウールと同様の断熱性能があり、施工のしやすさから発泡ウレタンを推奨する工務店も比較的多いです。

注意点としては、火災時など燃えた時の煙に有毒ガスが含まれる可能性が払拭しきれていないため、リスクを理解した上で使用するようにしましょう。

費用相場は30坪程度の家で160万円くらいが目安です。

4.フェノールフォーム保温板

フェノールフォーム保温板は高性能グラスウールに比べて断熱性能値が約1.8倍あり、非常に断熱性能の高い素材です。

旭化成の「ネオマフォーム」などはフェノールフォーム保温板の一種です。

断熱性能が非常に高いため、高性能グラスウールだと200mmの断熱効果をフェノールフォーム保温板を使った場合110mmで実現できます。

設計上、断熱を厚くできないところに有用な素材となっています。

また、グラスウールだけでなく同一面上にフェノールフォーム保温板を合わせて付加断熱として利用することで断熱性能を引き上げる事も可能です。

外張断熱工法という、壁の中に断熱材を入れずに壁の外側に5cmくらいのフェノールフォーム保温板を貼るといった施工しやすい方法もあり、外張断熱工法を専門に行なっている業者もあります。

費用相場は30坪程度の家で200万円くらいが目安です。

【断熱材の施工例】

 

エコハウスの坪単価の目安

エコハウスを作る際に、坪単価で値段を見るとよくわからなくなってしまうかもしれません。

そんな時は、標準仕様のものにオプションでサッシや断熱材に変更を加えると、それぞれいくら費用がアップするのかという見方をすることをおすすめします。

まずは、30坪程度の家でかかるサッシと断熱材のグレード別の費用の相場を紹介します。

30坪程度の家のサッシと断熱材のグレード別の費用の相場

30坪くらいの家のサッシの費用相場

 ・単板ガラス…合計80万程度

 ・アルミ樹脂複合サッシ(ペアガラス)…合計100万程度

 ・樹脂サッシ(ペアガラス)…合計130万円程度

 ・樹脂サッシ(トリプルガラス)…合計200万円程度

 

30坪くらいの家の断熱材費用相場

 ・高性能グラスウール…合計60万円程度

 ・セルロースファイバー…合計100万程度

 ・発泡ウレタン…合計160万円程度

 ・フェノールフォーム…合計200万円程度

サッシと断熱材の概算を知る方法

サッシと断熱材を工夫するだけで、住宅の断熱性能は大きく変わります。

建売住宅は、袋入りのグラスウールの断熱材とアルミ樹脂複合サッシ(ペアガラス)を標準とする事が一般的です。

上記の初期の仕様からG2グレードを実現するには、断熱材やサッシ、それ以外の物でいくら費用がアップするのかハウスメーカーに聞くと、違いがわかりやすいでしょう。

いちがいに坪単価として考えるのではなく、何をどこまで採用するかという基準を考えてみてはいかがでしょうか。

 

サマリー:エコハウスを建てる前に知っておきたい間取り、断熱材、坪単価

この記事では、エコハウスを建てる前に知っておきたい知識として「間取り」「断熱材」「坪単価」について具体的なポイントを交えお伝えしてまいりました。

家の間取りと高気密高断熱化は密接な関わり合いを持っていますので、一歩間違えれば快適な家からかけ離れてしまう可能性もあります。

理想のエコハウスを実現するためには、ハウスメーカーに丸投げするのではなく、施工主自身も知識を深めておくと安心できますね。

こちらの記事がエコハウスの実現に少しでも役立てば嬉しく思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。