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「物が溢れている方が落ち着く」に隠された心理とは?
2018.11.08
はじめに
片付け
住まいに対する安心感について
話を続けています。
今回は早速内容を見ていきましょう。
4.自分の領域を持つことへの安心感
子供は、大きくなるにつれて
「自分の部屋が欲しい」というように
なることからも分かるように、
自分のコントロール下の空間を
所有したくなります。
自分のコントロール下にある空間に
身を置くと、安心できるようになります。
逆にコントロールできていない、
空間にいると安心できません。
よく「物があふれていたり
散らかっている方が安心する」
という人もいますが、
心理カウンセラーが言うには
「それは耽溺という感情の状態に
フィットしているだけだ」
ということのようです。
要するに
「自分は散らかっているくらいの方が
ちょうどいい程度の人間」
というふうに自分を下げてみている
結果というのだから
とても興味深いものです。
家を設計する際「書斎が欲しい」
という人は結構います。
私は、その時、かなり慎重に
話を伺っていきます。
なぜなら、実際に書斎を作っても
物置や納戸になってしまっている人が
世の中には多いからです。
心理カウンセラーの人と
話をしていて、分かったのが
「書斎は、精神的自立をしている人の
場合は、うまく使いこなして機能する」
ということ。
「会社の昇進試験が定期的にあるので、
自分は書斎にこもってその時は勉強したい」
というお施主様がいました。
「家族がいるところでは、
勉強は難しいのですか?」
と尋ねたところ、
今の住まいで試みたけど、
ほとんど集中できず苦労した
とのことでした。
このお施主様の場合は、家が完成後、
書斎をしっかりと使いこなし、
昇進試験にも合格したと聞いています。
また、世の中で言われている
アスペルガー(広汎性発達障害の一つ)
の人は、静かに一人きりになれる場所を
持つことで、精神的なバランスを
取っていることが分かってきました。
このアスペルガーですが、
100人に1人いると言われていますが、
最近ではグレーゾーンの人を含めると
20人に1人とも言われています。
「家の中は、どこも区切らず、
大部屋で寝るような家にしたい」
というご要望のお施主様もいますが、
家族の中にアスペルガー的な人がいる場合は、
本当に大部屋形式でいいのか?
を慎重に判断することが必要でしょう。
以前までは
「この子、この人は自分の部屋や
一人になれる場所が必要だな」と
ヒヤリングをしてご要望をまとめながら、
家づくりをしていましたが、
最近では広汎性発達障害の研究も
個人的に進めているので、
より明確に意図しながら
設計するようになりました。
このように、
自分の領域を持つという側面は、
いろいろな側面から見て、
その人、その家族にあった空間構成に
することで、よりフィット感が
増すようになります。
次回に続きます。
八納啓創
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この記事の著者
八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。