YANO'S BLOG
太陽光発電は損か?得か?にお答えします
太陽光発電
2019.07.16 弊社の建築に対する考え方 再生可能エネルギー(自然エネルギー)の活用 省エネ(エコハウス) Q&A 家づくり110番
「太陽光の話をしていますが、太陽光発電は得ですか?損ですか?」
とよく聞かれますので、今回はこのことに対してお答えします。
 
まず、答えからお伝えします。
 
答えは「太陽光発電をのせるのなら、ある一定以上の建物性能以上の場合がお薦め」です。
 
最近、
「今、ソーラーパネルをのせて売電すると、住宅ローンも軽減出来ますよ。弊社ならソーラーパネルを安く設置できますのでメリットが大きいです」
という営業トークが多くつかわれています。
 
繰り返しになりますが、私のところにも
「ソーラーパネルをのせるのは、メリットがあるのでしょうか?」
という相談も多く寄せられます。
 
太陽光発電は、確かにこの数年は特に注目を浴びて来ました。
売電の固定買取価格も年々下がってきているので、早く申し込んだほうが得だという風潮もあります。
 
しかし、住宅にのせる通常のソーラーパネルの場合は、
 
「運が良くて初めの10年で投資金額が回収できるが、下手をすればソーラーパネルの寿命の20年目ぐらいで投資金額がぎりぎり回収できるか持ち出しで終わる可能性がある」
 
という方が適切でしょう。
 
実際の話として、NPO法人「太陽光発電所ネットワーク(PVネット)」が発表した調査結果によると「家庭に設置された太陽光発電システムの約3割が、12年以内 に故障している」とのことです。
 
こうなると元が取れるかどうかも微妙です。
 
ましてや、住宅ローンの軽減に充てられるというトークは、状況によって、はじめの数年のみの可能性は大きいです。
 
ソーラーパネルの平均寿命が20年程度、システムの一部を担うパワーコンディショナーは10年ぐらいで故障して数十万円かけて取り換える可能性があることさらには、20年で使えなくなったソーラーパネルを廃棄する場合は産業廃棄物扱いになるので、高額になることなどあまりそのデメリットは知られていません。
 
私は「太陽光発電は、普通の家の場合は、投資したお金分がうまくいってぎりぎり回収出来る程度だと思ったほうがいい」という話をしています。
 
それよりも「同じお金をかけるのなら家の断熱・気密性にまずお金をかける方が永続的にメリットが出ますよ」と話をしています。
 
断熱施工

断熱施工の状況 40坪の家なら知識があれば30〜50万円で格段に断熱性能の高い家づくりが可能

 
冊子の「家の燃費性能」でもお伝えしていますが、もし先に家の燃費性能を上げてしまえば、光熱費があまりかからない家になります。
 
冊子→家づくりに絶対失敗しないために「まず」読む本
 まだご覧になっていない方は、こちらから
 
     
 
 
その上で、予算的に余裕が持てるのならソーラーパネルを載せて売電すると10年の約半分の5年程度で投資金額を回収出来る可能性が高くなります。なぜなら、電気の使用量がグンと減る家になるので、ソーラー発電で十分まかなえる家になる可能性も高くなり現金の支出がグンと減るからです。
 
回収出来る期間が短ければ短いほどリスクも少なくなるものです。
 
ほとんどの営業トークが家の断熱・気密性能が次世代省エネ基準レベルかそれ以下でお薦めしているので、「この家の熱損失係数Q値はいくらで設定しているのですか?」と聞いてみましょう。
 
※近年は、Q値の代わりに外皮平均熱貫流率Ua値が使われるようになりましたが、
 Q値でもまだまだ伝わります。
 
Q値は、どれだけ熱を損失しているかという数字なので、数字が小さくなればなるほど、断熱性能が高いことを示しています。
 
Q値が次世代省エネ基準(2020年に義務化される予定の省エネ基準だったもの)の1.5~2倍の性能値(例:太平洋や瀬戸内海エリアなら次世代省エネ基準でQ値2.7の場合、1.5~2倍のQ値は1.8~1.35を示します)があれば、太陽光発電を検討してもメリットが出てくるでしょう。
 
ソーラーパネルをのせると得ですよ、というトークが出た場合は上記の内容を参考にしてみてください。
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この記事の著者
八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。