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日本の住宅の省エネ性能はこのまま世界からずっと遅れを取っていくのか?
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前回のコラムで日本の高断熱化が遅れていることがよく分かったことでしょう。
高気密高断熱のうちの高気密についても気密性能がどれくらい世界的に遅れているか?は以前のコラムでお伝えしていますので、それをご覧ください。
前回のコラムを見て「日本の省エネ性能は本当に遅れているんだな〜」「省エネ先進国に追いつくような発想は日本にはないのかな?」と感じた人もいることでしょう。
実は、日本でもさらに省エネ性能を求めるための活動はしてきています。
下記の表をご覧ください。
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※HEAT20(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会)
※※経済産業省「ZEHロードマップ」より
ピンクの帯のところがH11年基準の内容になります。
それ以上の性能のグレードとして、この表では、ZEH基準、HEAT20のグレード1、2というものが設定されています。
太平洋沿岸などは5地域に類しますが、H11年基準でQ値が2.7であったのが、 HEAT20ではグレード1で1.6、グレード2で1.3というふうに、グレード2はH11年基準の倍以上の性能があるのが分かります。
前回提示した下記の表をもう一度ご覧ください。
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世界のQ値の比較
この表から同じ気候区分でフランスのQ値が義務基準で2.0でしたが、 HEAT20のグレード1が1.9なので、グレード1ならフランスの義務基準をクリアーすることができます。
ここから分かるのは、「省エネ先進国の最低限の性能値を出すためにはグレード1なみの性能が最低限必要だ」ということです。
言い直すと、「高断熱化を図るには、最低限グレード1並みにすることが世界に通用する仕様だ」ということです。
では、グレード2などの性能は必要なのでしょうか?
実は、世界にはまだまだ高い性能を確保することを推進している国があります。
その一つがドイツです。ドイツには、パッシブハウス認定基準というものがあります。
年間暖房負荷というものがあり、15kWh/m2以下にすることがパッシブハウスの大きな基準の一つです。一概には言えませんが、H11年基準で2.7のエリアだとQ値で0.9以下にすることが目安になります。
グレード2の1.3よりもパッシブハウスの0.9の方がさらに性能が良くなっているのがこれで分かるでしょう。
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Q値0.9相当の住宅の事例
私の事務所でもパッシブハウス基準相当の住宅やグレード2相当の住宅などの設計を行っていますが、家の中の温度差がなく本当に快適な空間になります。
ただし一つ忘れてはいけないのが、「建築費の増加に対する償却年数」です。家の性能を上げると光熱費の削減やエアコンなどの設備投資費が下がります。目安としては10年で元が取れることが重要です。このことはまた別の機会にお伝えしましょう。
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この記事の著者
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八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。