ヨーロッパには「リビング」がない? 人生を豊かにする家の使い方
2019.08.13
家づくり成功のツボ
一流人の思考
※この記事は、2015年7月にはてなブログで公開した内容のものを加筆修正したものです
日本に当たり前のようにある「リビング」。
その「リビング」がヨーロッパにはない?というタイトルをつけましたが、「え?どういうこと??」と思う人もいるでしょう。
日本においてリビングは「食事等以外の時に家族の集う代表的な場所」です。
家庭によっては、TVを見たり、色々な話をしたりしなかったりと様々ですが、リビングはもともとアメリカから輸入された概念で「家族が平等に集まる場」というイメージがありました。アメリカがリビング発祥の地なのです。
リビングの発祥はアメリカ
ヨーロッパや日本では、全く別の形でそれぞれの空間が存在していました。
アメリカの歴史をひも解くと、もともと、欧州で迫害を受けたピューリタン思想の人たちがアメリカに定住しはじめたところに遡ります。ピューリタン思想の中には「人は生まれながらにして平等」という価値観があります。
生まれたての赤ちゃんに対して部屋を与えるのは、この価値観が背景にあります。また、アメリカでは生まれて間もないころから赤ちゃんを一人で部屋に寝させるのもこの価値観に基づいています。
それに対して長い間、フランスをはじめとした欧州では「人は生まれた時は動物と一緒で、育つに従って人間として成長していく」というような価値観が広がっていました。
子供の頃は人間として一人前に扱ってもらえないのです。実際に、フランスなどでは、20世紀後半ごろにようやく公団などで子供部屋を設けるようになったくらいです。
そういう意味でも長い間、欧州には「家族が平等に集まる場」であるリビングは一般的に存在していませんでした。
欧州の家の中には「大人が集う場」として「サロン」という名の場所が存在する
サロンという部屋が聞き慣れない人もいると思いますが、日本の家でいうと「応接間」がそこにあたります。応接セットをおいて、人が来たら招き入れるというのは、欧州のサロンによく似ています。
欧州では、サロンには基本的に大人しか入らず、子どもや家族は基本的にダイニングにいることが多いです。(大きな家の場合は、ファミリールームという家族の集う部屋もありますが、基本的にはダイニングに集います)
欧州では、大人が集うという風習、習慣があるので、このサロンが機能していますが、日本では、応接間の部屋の意味や使い方も全く分からずにソファーセット置場になっている場合も多く見られました。
この文章を読んではじめて応接間の意味を知った方もいるかもしれませんね。
しかし、成熟した大人の社会には、「サロン」的なコミュニケーションがとれる場があることは重要です。
私の予測ですが、人との繋がりがより重要になるこれからの時代、サロン的な場所は日本でも注目を受け始めるでしょう。
そして、家づくりを考えるとき、「どこに人を招き入れようか?」を夫婦で共通認識を持つことは家造り成功の秘訣の一つです。
今回の話をきっかけに、リビング+サロン的な場所を家の中に組みこんでいこう、というふうに幅を広げて考えて見られるのもいかがでしょうか?
家と家族の幸せとは
どのように関係があるのか?
特別無料PDFプレゼント
どのように関係があるのか?
特別無料PDFプレゼント
100軒異常の注文住宅の設計を通して
数多くの成功と失敗を見て来た建築士が、
「失敗しない家づくりのヒント」を解説した
無料PDFをプレゼントいたします。
数多くの成功と失敗を見て来た建築士が、
「失敗しない家づくりのヒント」を解説した
無料PDFをプレゼントいたします。
この記事の著者
八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。