YANO'S BLOG
Q&A)二世帯住宅で「後悔」しないために押さえておくべきことは?
2020.03.02 家づくり成功のツボ Q&A 家づくり110番 パートナーシップ

(ご質問)

現在夫の両親と二世帯住宅を建てる計画をしていますが、どのように進めれば二世帯住宅で「しまった!」とならないでしょうか?

 
 

(八納の答え)

 
二世帯住宅を建てるときの心構えについては、別のQ&Aでお答えしましたので、今回は心構えの次に押さえておきたい具体的な話を3つのポイントでお伝えしましょう。
 
 

ポイント1)親との距離感について

 
夫婦間でしっかりと話し合えれば、
 
「私は、お母さまとキッチンは共有でも構わないわ」
「リビングは基本一つだけど、自分たちの寝室にセカンドリビングぐらいは欲しい」
「玄関は共有でもいい」
「基本的に玄関も分けて、家自体を別けた構成にしたい」
 
などと、自分たちにとって親との距離感を共有することが出来ます。
  
もちろん親の意見も出てくるでしょうが、その前に自分たちにとって、どれくらいの距離感で間取りを作りたいか?は夫婦でしっかりと話し合いましょう。
 
それぞれの夫婦がそれぞれで話し合って要望を出し合うのがベターです。
 
この時「お金は誰がだすから、その人の言うことを聞きなさい」的な流れになると、トラブルもとになります。どうしても二世帯住宅を立てる場合、親の援助を受けるケースが多いので、ここは、はじめにボタンを掛け違えないように気をつけておく必要があります。
 
それぞれの夫婦が話し合って持ち寄ることを事前に確認しあっておきましょう。
 
 

ポイント2)上下階などの位置関係について

 
1階の親世帯、2階に子世帯が住むような間取りにする場合は、上下階の音に関して注意が必要です。ご家庭によりますが、親世帯は午後5時台ぐらいにお風呂に入り、9時ぐらいには寝てしまうケースもあります。
 
親世帯の寝室の上が、お風呂であったり、子世帯が活発に動いているリビングだったりすると、その音や振動が伝わって親世帯が眠れずストレスになることがあります。
 
上下階で部屋のレイアウトをする場合で親世帯の寝室が1階の場合は、その部屋の上部を出来る限り人が入らない部屋などにするなどの工夫が必要です。
 
また、どうしても上下階になる場合は、2階の床と1階の天井裏で防音と遮音を施すように施工者や設計者に要望を出してみましょう。
 
 

ポイント3)20~30年後の使い方も考えておく

 
シリアスな話ですが、二世帯住宅を建てる場合、家族構成で一番人数の多いときに家を建てがちです。そうなると、20~30年経つと、子供が巣立ち、親も先立って、夫婦二人の生活になっている可能性も高くなります。
 
ただ、設計においてそういったシリアスな話を出すのはタブーとばかりに誰も触れずに家を設計してしまっては、将来部屋が余って仕方がない家になってしまいます。
 
拙著にも事例で紹介していますが、二世帯住宅で建てたクライアントのMさんは、「将来二人だけの生活になったら、母屋はカフェやレストランにして、自分たちは離れに住みます」ということで、家の設計を行いました。
 
また別のご家族の場合は、1階に親世帯、2階に共有リビング関係、3階に子世帯という間取りにして、自分たちが年を取って親が亡くなった後は自分たちが1階に住み、3階は自分達の子供家族に住んでもらい、代々3世帯が住まう家として受け継いでいくということを明確にしていました。
 
将来部屋が余ったら、自分の趣味やライフワークの部屋にするのも一つでしょう。
エリアによっては、空き室を民泊などにして収益を生み出すことも可能です。
  
シリアスな話ですが、30年後どのように家を使うかも夫婦では話し合っておきましょう。
 
 
 
・・・・いかがだったでしょうか?二世帯住宅というものは、家族同士なんだからと安易に建ててしまうと後々トラブル可能性が大です。
 
「他人同士が住む」ぐらいの思いから繊細に物事を組み立てることが重要です。
 
 
 
 

 
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この記事の著者
八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。