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木造は鉄筋コンクリートや鉄骨造に比べて構造的に弱いのか?
2019.06.21
弊社の建築に対する考え方
耐震性について
家造りの相談に来られる方の多くが「木造は構造的に弱そうで心配」というふうに言われます。
構造とは建物の形をなす骨格(骨組)で、木造以外には鉄筋コンクリート造と鉄骨造が主流としてあります。
「耐震性の事を考えたら鉄筋コンクリート造の方が良いのではないか?」
そのように考える人も多いです。
価格的には、木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造と坪10万円づつ高くなって行くのが一般出来ですが、一番安価な木造の構造も心配だという感覚もあることでしょう。
【木造の骨組みの状態】
また実際、東日本大震災で襲った津波は木造住宅の多くが流されました。そんな中、残っていたのは鉄筋コンクリート造です。そういう事もあり今鉄筋コンクリート造に注目も集まっているようです。
個人的な見解ですが、津波などの2時災害が起こる可能性のあるエリアなどの場合は鉄筋コンクリート造も有効に働く可能性は十分ありますが、通常の地震などにおける耐震性という意味だけで言うと、木造でも遜色ありません。
どうして木造の耐震性が弱いと思われているかというと、1つにはシロアリの被害のことが挙げられます。
阪神大震災のとき、木造住宅の倒壊が多く、その中でも在来軸組工法(柱と梁で持たせた日本従来の木造の考え方)の家で、柱などがシロアリなどにやられていてもろくなっている木造の家の被害が大きかったようです。逆に木造でも2×4などの壁工法のものは、ほとんど倒壊しなかったという記録もありますから、この辺りの事実は押さえておくといいでしょう。
木造は他の構造に比べて弱いと思われがちですが、例えば3階建ての木造になるとビルやオフィスと同じ構造計算(許容応力度計算)で検討します。少し建築に詳しい人は、2階建てまでだと壁量計算という簡易的な構造検討ですませているイメージがあるかも知れません。
実際に4号特例という住宅の構造のチェックは設計者だけに任せ、申請期間でチェックしないというような制度があります。皮肉なことに、4号特例のことを熟知している設計士や施工者が少なく、それが元で全国的に構造トラブルになっているケースも多いです。弊社の場合は、4号特例に関しての熟知の徹底、さらに耐震等級2や3を取得することでより安全性を強化しています。
熊本の地震では、耐震等級3の建物にほとんど被害がなく、耐震等級2の建物が1棟だけ損傷を受けました。どんな地盤、断層の上に家が建っているかにも寄りますが、耐震等級2以上並みの構造にすることが重要です。
また、木造2階建の場合でも複雑なデザインの場合は、ビルなどと同じ許容応力度計算で検討します。別途費用的に20〜30万円くらいかかりますが、より安心出来るでしょう。
「木造の耐震性は低いのか?」にという問いかけに対して答えるなら、構造的な耐震性は他の構造と遜色ありません。
しかし、木造の場合「構造材が湿気てしまう腐ってしまう」「そこにシロアリが集まってやられてしまう」という部分が弱点になります。
しかし、現在の耐久性の高い木造住宅造りなどにおいては、そこに陥らない工夫なども施されています。気になる場合は、どう対処しているか?を実際の家造りの際に専門家に尋ねてみると良いでしょう。
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この記事の著者
八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。