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なぜ木造の寿命は短いと思われているのか?各構造の耐久性を把握しておこう
2019.06.24
弊社の建築に対する考え方
耐久性について
木造の寿命は「26年程度」と世間的に言われているため、木造は耐久性が低いというふうに思っている人も多いようです。
よくよくこの26年の要因を調べてみると、
▼ライフスタイルの変化に対応できない
▼設備の入れ替えのサイズが合わない
▼構造の木部分が腐ってきた&白アリにやられた
というふうに、構造自体が駄目になるケース以外も多々あることに気付かされます。
先にあげましたが、特に20世紀後半は家電製品が増え、想定していたよりも物がたくさん増え、経済成長の真っ只中だったので、リフォームするくらいなら建て替えた方が早い、という流れが家の寿命を縮めた事実をあまり知られていません。
では、ここで木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の寿命と言われているものについて把握していきたいと思います。
1.鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリートはとても頑丈なイメージがありますが、大体コンクリート自体が50年ぐらいしか持たないと言われています。1970年~1980年代にかけて全国にたくさんの鉄筋コンクリートの公共集合住宅が出来ましたが、そろそろその寿命を迎えるため、大改修か解体を余儀なくされそうでこれからの10年でコンクリートの耐久性などについては、クローズアップされていくことでしょう。また寿命とは直接関係有りませんが、コンクリートは解体する時「産業廃棄物」になるため解体費もばかになりません。例えば、30坪ぐらいの家の木造の家の解体費が90万円ぐらいだとすると、鉄筋コンクリートの場合は、300万円近くするというデータもあります。
この解体コストのリスクは、これからは絶対に忘れていはいけない要素なので覚えておきましょう。
2.鉄骨造
鉄骨造には、肉厚の薄い軽量鉄骨と肉厚の厚い重量鉄骨増の2種類があります。通常住宅で多いのは軽量鉄骨です。重量鉄骨は、部屋の角に柱の形が出たりするのが特徴的です。それぞれの寿命に関してですが、軽量鉄骨造で20数年。重量鉄骨造で40数年と言われています。鉄骨造の場合は、鉄骨が錆びて、肉厚が取れなくなるということが耐久性の問題に一番繋がっているようです。特に軽量鉄骨造は、肉厚が薄いので、住宅の場合の壁内結露などは錆させる原因になりますので、注意が必要です。これから軽量鉄骨造で家を建てようとされる方は、「壁内結露をしないような構造にしてほしい」と伝えてみましょう。鉄骨造の場合は、錆びる前に錆止めを塗り直したり、錆びた部分が軽症なら鉄板をあてて補強も出来ますが、それでも錆びてくることで寿命が来ることは押さえておきましょう。
また住宅の場合で高気密高断熱仕様で作るのは向いていません。なぜなら、鉄は冷えやすく真冬には、壁の中の鉄が冷えすぎて、それが原因で壁の中が結露したり、断熱欠損を起こしてしまうからです。詳しくは、ケースバイケースなのでお問い合わせください。
3.木造
一番寿命が身近いと思われがちな木造ですが、「壁内結露」と「シロアリ」の被害が無ければ基本的に100年単位で耐久性を保つことが可能です。木同志を繋いでいる金物や釘の寿命が木造では影響してきますが、「湿気ないように造る」技術も進歩してきていますので、そのことをしっかりと押さえておけば、かなり長い年月耐久性を保つことが出来るでしょう。そのようになってくると、木造住宅で一番早く寿命がくる部分はコンクリートで作っている基礎部分。ここを将来補修したり、こまめにメンテナンスが出来るようにしておくことが家の耐久性にも大きく繋がります。
いかがでしたか?
木造に対する認識が、一般的に常識と思われているものと違うことが分かることでしょう。
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この記事の著者
八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。