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サッシは結露から家を守るが「もろ刃のつるぎ」になることも知っておこう
2019.06.28
弊社の建築に対する考え方
耐久性について
湿気を寄せ付けない方法で押さえておきたい部分にサッシがあります。
今回はサッシについてお伝えしましょう。
4.サッシについて押さえておきたいこと
構造以外で耐久性に影響するものとして、サッシ(外部に面する窓)をあげることが出来ます。サッシは、木製、鉄製、アルミ製、樹脂製、ステンレス製などがあり、最近では、外部がアルミ、内部が樹脂のアルミ樹脂複合冊子や内外とも樹脂でできたオール樹脂サッシの需要が増えています。
木製サッシは金額は通常のアルミサッシの3倍ぐらいはしますが、木そのものの素材感は雰囲気を演出します。ただ、雨が直接かからないところで使うなどの工夫は必要ですね。
また鉄製のサッシは今から30年ぐらい前に流行りましたが、錆の問題などで最近ではほとんど使われていません。ステンレス製に関しては、建築家のなかでもスタイリッシュなデザインをされる方が使うことがありますが、あまり一般的ではありません。
住宅だけでいうのなら、オール樹脂サッシがおすすめです。
それには理由があります。
なぜなら、他の省エネ先進国では、住宅に日本のようなアルミサッシを使うことがほぼ無いからです。アルミは基本的には一般建築用サッシのイメージが高いのです。
「なぜ、日本の家はサッシにアルミを使っているの?」
というのが省エネ先進国から見た日本の印象でしょう。
具体的に数字で見ても、樹脂の3倍ほどアルミは熱を逃がしてしまいます。
逆に真冬は外気温を敏感に拾ってしまい、アルミはものすごく冷たくなります。
これが、冬に結露を発生させる大きな要因になっています。
結露ですが、目安としてサッシの部屋内側の温度が大体10度以下になりだすと発生し始めます。
アルミ樹脂複合サッシだと、いま普及しているペアガラス仕様でその温度を下回るケースが多いです。
それに対してオール樹脂サッシは、同じペアガラス仕様で10度以上をキープしやすいのが特徴です。これは、地域によって違いますので、詳細はケースバイケースで調べる必要がありますので、これは目安として知っておきましょう。
「でも樹脂ってプラスチックでしょ?火事で溶けるのでは?」
「風にさらされてすぐにダメになりそう」
というイメージがあるのでは無いでしょうか?
樹脂といっても普通に使われているプラスチックとは全然違います。
まず、溶け出す融点はアルミよりか高いです。
要するに火事になった時は、アルミの方が先に溶けるということです。
樹脂自体の耐久性は、現在サッシメーカーなどが色々と実験中ですが、アルミと遜色ない程度には保てれるという検証結果も出てきています。
価格は?というと、アルミ樹脂複合サッシとほぼ同等か1割程度高いぐらいです。
【樹脂サッシの組み合わせで大開口の窓をデザインした例】
サッシについて、もう一つ押さえておきたいのはガラスです。最近の住宅では、単板ガラスを使うことは随分無くなり、ペアガラスやトリプルガラスを使う傾向が強くなっています。
またガラスも太陽熱を遮る遮熱ガラスや日差しを程よくいれ部屋の中の冷気や暖気を逃がさない断熱ガラスなどもあり、多種多様に富んでいます。
家の断熱性自体を高めてあげると、ペアガラスやトリプルガラスは威力を発揮します。ただ、家の断熱性能が低いままだとペアガラスやトリプルガラスを採用すると問題を起こす可能性もあります。
なぜなら、それまで窓が結露してくれて家の湿度を吸収してくれていたのが、窓の性能が高くなったせいで、場合によっては断熱材がほぼ入っていないような壁の部屋内側の壁クロスがびっしょりと濡れ始めたりするからです。壁の中が湿気始める危険性が増してしまいます。
なので、リフォームの場合は、安易にサッシだけをやりかえるのは危険があることを知っておきましょう。ケースバイケースですが、家の換気状態をよくすれば、壁クロスの結露現象が減少することもありますが、真冬の換気になるので、家の中がいつまでも温まらなくなるなど悩ましいところです。
窓をやりかえるなどのリフォームをする場合は、省エネ建築診断士など専門的に勉強している設計士や施工者に相談することをお勧めします。
それくらい、サッシが湿気に関係していることをここでは押さえておきましょう。
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この記事の著者
八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。