YANO'S BLOG
わたしの考えているこれからの建築士像
2018.07.27 建築士
2020年のオリンピックに向かって日本経済は上向きで進んでいるように見える。しかし、業界によっては既にその後の経済の落ち込んでいく影を感じながら過ごしている。
 
特に士業は、AIの進化に伴って、多くの部分がAIにとって変わられる時代になるだろう。AI以外にも東南アジアの労働者が今以上に日本に進出していくることも容易に想像できる。インターネットの普及によって、現地からデジタルで納品することも見やすい時代だ。
 
そういった中、建築士はどのようにクリエイティブに仕事を生み出していくのだろうか?わたしは、ここで完全な二極化が進むと考えている。
 
一つは、誰もができる雑務部分をコツコツこなし続けながらAIにとって代われる建築士、もう一つは、人間でしか生み出すことができないクリエイティブな発想や人の気持ちによりそう感性を持ち合わせた建築士。
 
前者はスキルとしての資格だが、後者は、スキル以上の経験値を統合したプロデューサー、または参謀としての建築士だ。
 
前者は、単価もどんどん安くなり、しかもAIがどんどんやっていく。
後者は、必要な人材としてどんどん求められていく。
 
わたしは、これからの時代の建築士として後者の人材をどんどん育てていきたい。もちろん、わたし自身が自分により磨きをかけることも重要だ。
 
後者の人材とは、例えば
 
 ・省エネに関する技術的提案を相手の立場で提案できる力
 ・耐震性、耐久性などの資産面を技術的スキルとともにそれを実現させる力
 ・単なるデザインとしての箱でなく、使い手、住み手のことを本気で考えた提案ができる力
 ・全体を見渡し、本質的な解決を導き、それを技術的に提案できる力
 ・住宅などであれば、女性の感性や心理に寄り添う力
 ・HPなどからの本質的な情報発信力
 ・技術面以外の独自性のあるポジショニングが明確である
 ・長期的視野で、社会性につながる役割を意識している
 
と、挙げるときりがないが、わたし自身そういう人間として磨きをかけたいし、これからの若手にそのような資質を磨いてもらいたいと思っている。
 
わたしのオフィス自身がそのようなことを考えて運営しているし、協力してくれている専門家仲間もそういった意識で関わってもらっている。
 
上記に賛同する建築士がいたら一緒に仕事をする機会を作りながらお互いに高め合うこともやって行きたいと考えている。
 
そして、全国に後者のような建築士ネットワークを築いていくことがわたしの一つの目標だ。
これから、広島ではわたしのオフィス、全国ならオンラインを使って勉強会を開催して行こうと考えている。
 
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この記事の著者
八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。