YANO'S BLOG
なぜ無料でプランを提供しないのか?
2018.11.20 家づくり成功のツボ メルマガバックナンバー
「ハウスメーカーなどはプランを無料で
提供してくれるのに多くの設計事務所では、
なぜしてくれないのですか?」
 
という質問を受けることがあります。
 
今回は少し家づくりに直結した話ですが
設計事務所ってどういうところかを
知っていただく一端として、
お伝えしましょう。
 
ちなみに、私の事務所では、
無料相談というものがあり、
2時間ほど色々な話を聞かせていただき、
その後土地が決まっていない場合は、
土地情報を提供させていただいたり、
土地取得のサポートは無償でしています。
 
なぜなら仲間の不動産会社が
連携して動いていただけるからです。
 
土地が決まって、プランを考える場合は、
企画提案料として12万円(税抜)を
いただくようにしています。
 
この金額は設計事務所によって
まちまちでしょう。
 
その後契約に至れば、
上記の費用を設計料に充当して
設計を進めます。
 
設計事務所は
どこからお金がかかるのかが
分かりづらいという声もよく聞きます。
 
実際に業界のトラブルで、
 
「設計事務所から絵が出てきて、
気に入らなかったので、
他に当たりますという話になったら
突然お金を支払ってくれと言われたと」
 
いうものがよくあります。
 
設計事務所としては、
契約前提で進んでいて、
かなり考え抜いたプランまで
描いたから他に話が
流れることはないだろう、
 
というような気持ちで
やっていたんだと思いますが、
どこから有料がきっちりと
先に伝えることは重要でしょう。
 
話を元に戻しますが、
「なぜ無料でプランを提案しないのか?」
答えの一つですが
 
「プランを作るには実際に時間を費やし、
会社として経費がかかっているから」
 
です。
 
例えば、一つの案を作ってまとめるのに
5日ぐらいかかるとします。
 
一人当たりの人件費を
仮に3万円だとすると約15万円。
 
もし、この費用をいただかないと
どのようなことになるか?
 
結局は契約した人の設計料に
上乗せするしかなくなります。
 
私たち設計者は
 
「お施主様の資産を
最大限有効活用すること」
 
も仕事の要素として大切です。
 
 
そう考えると、
できる限り上乗せするような
設計料の出し方はしたくない。
 
それが答えの一つです。
 
「ただほど高いものはない」
 
とよく言われますが、
フリーミアムから程遠い建築業界では
まさにその通りでしょう。
 
本質的な答えとしては、
私は「お金=感謝のエネルギーの総量」
だと考えています。
 
そのためには、プランを見たお施主様が
 
「まさにこれは僕の想像を
はるかに超えた家!」
 
というものにすることが必要です。
 
もし、そこまで出来ているのなら、
逆に有料にして費用を
もらうべきだと思います。
 
 
昔から
 
「アイデアは有料か無料か?」
 
という議論があります。
 
「すでにアイデアは出尽くしているから、
すべてはモノマネでしかない」
 
「アイデアは、その人が
数10年経験してきたものすべてを
含んでいるから、それだけの価値がある」
 
など、いろいろな考え方があるかと思います。
 
僕は、双方の考えともあると思うし、
双方とも否定するつもりはありませんが、
 
アイデェア自身にフォーカスするのではなく、
そのアイデェアが相手の魂を震わせるかが
重要でしょう。
 
 
八納啓創
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この記事の著者
八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。